産業廃棄物収集運搬業について

【産業廃棄物とは】

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち次のものをいいます。

①燃え殻②汚泥③廃油④廃酸⑤廃アルカリ⑥廃プラスチック類⑦ゴムくず⑧金属くず⑨ガラスくず等⑩鉱さい⑪がれき類⑫
ばいじん⑬コンクリート固形物⑭紙くず⑮木くず⑯繊維くず⑰動植物性残渣⑱動物系固形不要物⑲動物のふん尿⑳動物の死体①~⑬までは業種に関係なく排出される廃棄物であり、⑭~⑳は限定業種に伴い排出される廃棄物です。※⑭⑮⑯は建設業、⑰は食品製造業、医薬品製造業、香料製造業、⑱⑲⑳は畜産農業に該当また産業廃棄物以外の廃棄物のことを一般廃棄物といい、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する産業廃棄物のことを特別管理産業廃棄物といいます。特別管理産業の収集運搬を行う場合は、産業廃棄物収集運搬とは別に特別管理産業廃棄物
収集運搬業の許可が必要になります。

【産業廃棄物収集運搬業の許可が必要な場合】

産業廃棄物を運ぶ場合、法人に限らず個人や小規模のものであっても許可が必要です。ただし、排出事業者が自ら適切にその産業廃棄物を運搬する場合は許可が不要となります。
※建設工事の場合、元請業者が排出業者に該当するので、元請業者が自ら適切に運搬する場合は許可が不要となるが、下請で現場に入っている場合は、産業廃棄物を運搬するには産業廃棄物収集運搬業許可が必要となる。

【産業廃棄物収集運搬業の申請先】

各都道府県知事から許可を受ける必要があります。産業廃棄物の排出先と運搬先が異なる場合は、両方の都道府県知事の許可が必要となるので注意が必要です。通過のみの都道府県は許可が不要です。

【産業廃棄物収集運搬業許可の有効期間】

許可の有効期間は5年間です。有効期間途中に品目を増やす場合(事業範囲の変更許可)は、許可期限は変わらず元の期限がそのまま適用されます。また、優良事業者認定基準に適合した場合には、有効期間は7年間になります。
※許可内容に変更が生じた場合は、変更した日から10日以内に変更届の提出が必要(法人が名称や役員を変更するため、登記事項証明書を添付する場合は30日以内)

【産業廃棄物収集運搬業の種類】

産業廃棄物収集運搬には、「積替保管を含まない場合」と「積替保管を含む場合」の2種類があります。内容は次の通りです。
①「積替保管を含まない場合」
廃棄物を収集した後、産業廃棄物処理施設まで下ろすことなく、直行運搬する業務のこと。
②「積替保管を含む場合」
収集した廃棄物を保管場所で保管し、一定量に達した時にまとめて運搬したり、運搬の途中で別の車に積み替えて産業廃棄物処理施設に運搬する業務のこと。ただし、周囲に囲いが設けられている産業廃棄物の積替場所であることの表示がされている、積替場所から産業廃棄物が流出、放出、地下浸透したり悪臭が発散しないように必要な措置を講じる等の一定の基準を満たす必要があります。

【要件1・講習会の受講】

公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する2日間(特別管理産業廃棄物収集運搬の場合は3日間)の講習を受講し修了試験に合格し、修了証を取得しないと産業廃棄物収集運搬業の許可を得ることはできません。講習会の受講対象者は次の通りです。
①法人
法人の代表者、役員、政令に定める使用人
②個人
申請者本人、政令に定める使用人
受講日や受講会場は年間スケジュールとして決められています。受付の締め切り日もあるので、注意が必要です。 また、新規許可の講習会修了証の有効期間は5年間、更新の講習会修了証の有効期間は2年間です。許可更新の際も同様に修了証が必要となるため、更新の講習会を改めて受講する必要があります。

【要件2・運搬施設】

産業廃棄物が飛散、流出等しないような運搬車両、運搬船、運搬容器等をあわせて運搬施設といいます。積替保管を含まない場合、運搬車両、運搬車両の保管場所、運搬容器を確保しなければなりません。

・運搬車両の注意点
第一に、使用権限のある運搬車両である必要があります。具体的には、自動車検査証の所有者もしくは使用者が申請者と同一である必要があるということです。ただし、使用者が申請者と異なる場合でも両者間で車両の賃貸借契約が締結されていれば、契約書の提出で使用権限ありと判断されます。法人申請の場合、使用者欄には法人名義で記載がされていなければなりません。役員等の個人名義の場合は変更する必要があります。また大型車両(車両総重量8t以上または最大積載量5t以上)のうち土砂等運搬禁止車両では、汚泥、鉱さい、がれき類、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くずは運搬することができません。
他には、燃え殻、汚泥(含水率85%以上)、廃油、廃酸、廃アルカリ、動植物性残渣、動物系固形不要物、鉱さい、動物のふん尿、動物の死体、ばいじん、特別管理産業廃棄物については、密閉可能な運搬施設を有する必要があります。

【要件3・経理的基礎】

産業廃棄物収集運搬業を的確かつ継続的に行うことができる経理的基礎を有している必要があります。判断基準や提出書類は自治体により異なりますが、具体的には、利益の額、債務超過に陥っているか否か、税金の納付状況等で判断されます。また財務内容によっては、公認会計士や中小企業診断士が作成する「経済的基礎を有することの説明書」等の書類を求められる可能性もあります。

【要件4・事業計画】

許可を取る品目について、次の通り収集運搬業の具体的な計画が必要になります。
①廃棄物の収集運搬の委託を受けることが決まっており、その種類、性状を把握するこができること。
※受注予定がない場合、許可の取得はできません。
②取り扱う産業廃棄物の性状に応じて、品目に適した運搬施設があること。
③産業廃棄物の搬入先が、産業廃棄物を適切に処理することができること。
④業務量に応じた収集運搬の施設があること。

【要件5・欠格事由】

申請者(法人役員、株主、出資者、政令使用人、個人事業主)が欠格事由に該当していないこと。
①成年被後見人あるいは被保佐人または破産者で復権を得ない者
②禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
③暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
④暴力団員等がその事業活動を支配する者
⑤産業廃棄物処理法、または浄化槽法の違反により許可を取り消されてから5年を経過しない者。または、取り消しを受けた法人で取り消し60日前まで役員、あるいは政令使用人であった者
⑥下記の政令等に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから5年を経過しない者
⑦下記の環境法令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから5年を経過しない者
⑧営業に関し成年者と同一の能力がない未成年者の法定代理人のうち、上記①~⑦のいずれかに該当する者

※⑥政令等
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、傷害罪、傷害助勢罪、暴行罪、凶器準備集合・結集罪、脅迫罪、背任罪
※⑦環境法令
廃棄物処理法、浄化槽法、大気汚染防止法、騒音規制法、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律、水質汚濁防止法、悪臭防止法、振動規制法、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律、ダイオキシン類対策特別措置法、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理と
推進に関する特別措置法

【許可申請手数料】※千葉県の場合

新規許可 更新許可 事業範囲の
変更許可
産業廃棄物 81,000円 73,000円 71,000円
特別管理
産業廃棄物
81,000円 74,000円 72,000円

【許可取得までの目安期間】

約2ヶ月程度
※上記日数は目安となりますので、許可取得までに目安の日数を越える場合もあります。